hum9dspinu’s diary

たまに、どうしても長文で語りたくなるときがある

佐久間さんと声の仕事についての覚書

 

7月24日のそれスノを見て、佐久間さんの「声の仕事」に対する本気を感じ取ってしまって、完全に痺れたのでどうしても文章として残したくてこれを書くことにしました。

 


もちろん、佐久間さんがずっと声優の仕事をしたいって言ってたのは知ってるし、それが単にアニメが好きだからとか、そういう軽い気持ちじゃないだろうなってことも想像してはいたんだけども、24日放送回で、想像以上に本気で声の仕事というものに向き合って、取りに行こうとしてるということがビシビシ伝わってきて、鳥肌たったよ。

 


元々いわゆるアニオタとか声優オタなので、それなりにいろんなアニメ作品とかドラマCDとかシチュエーションCDとか乙女ゲームとか、その他諸々声優さんの舞台とかも見てきました。

声優さんっていうと、世間のイメージは「イケボ」とか「いろんな声が出せる人」とかそんな感じだと思います。

もちろんそういう部分もあるんだけど、声優というのは「声を変える」仕事ではなく「声で演技する」仕事なんです。(cf関智一)(正確な言い回しは覚えてないのでちょっと違うかも)

声だけで感情を、景色を表現する、それが声優さんのお仕事だとわたしは思っています。

目を瞑って聞いた時に、その人がどういう表情をしているのか、どういう景色を見て誰に向かって話しているのか表現する、そういう仕事。

映像でのお芝居と違って情報が「音」だけな分、確かな演技力と技術が必要とされる仕事。

 


そうなんです。声優って声がいいだけではダメなの。

いい声を活かす知識と技術と努力、そしてセンスが必要。

 


例えば泣きの演技、例えば笑い方、呆れ方、ため息、吐息、、ひとつひとつに「どう表現すればそう聞こえるか、伝わるか」というものを考え抜いた「技術」がある。

もちろん、知識として知っていれば誰でも出来るわけじゃない。

練習が必要だし、そして努力した先に「表現のセンス」というものが問われる。

 


声優さんの演技力ひとつでキャラクターが生き生きとするし、そして逆に演技ひとつでキャラクターが死んだりする。

人気のある声優さんたちは、みんな確かな技術力がある方たちです。

 


だからこそ私は、テレビで人気のタレントさんとか俳優さんが声優の仕事をするのがとても苦手です。

誰でも出来る仕事じゃない、声だけで人の心を動かす難しい仕事なのに‥とモヤる訳です。

ま、それは置いといて。

 


で、ここから佐久間さんの話ね。

 


佐久間さんって、元々声がすごく通りやすいトーンだし、舞台を長年やってるだけあって、発声という面では誰よりも声優っぽい。何なら声優より声優っぽい。

ラジオとか聞いてても、佐久間さんの発言で聞き取れなかったことほぼない。

「声」だけで表現するということは、「ん?なんて言った?」って思わせないことは何よりも重要な訳です。だから滑舌とか声の通りは超重要。

天性の声というものもあるけど、きっとこれは舞台をやってきた中で彼がたくさん努力してきたからこそ手に入れたモノなんだろうなと思います。

 


というわけでまず発声は問題なし。

それを踏まえて24日回の演技を細かく見ていこうと思う訳です。

 


なぜ佐久間さんに痺れたかというと、彼が声の仕事というものを色々分析していて、そしてそれを表現する練習をしているんだということが、あの回で分かっちゃったからなんですよ。

 


声の演技には知識と技術力が必要だって書きましたけど、佐久間さんのあの短いセリフの中にそれがめちゃくちゃ詰まってる。

 


まず先生が構成を褒めてくれてましたよね。あの、

「独り言のような台詞から入る→相手に会話を向ける→その後の展開をプラスする→最後に相手に質問を投げかける」

っていう構成は、まさに乙女ゲーとかシチュエーション系でよく使われる脚本なの。佐久間さん普段は男性向けの作品に触れてるだろうし、そっちもそんな感じかは分からないけど、あの構成を持ってこれるということは、乙女ゲーが何たるか、ちゃんと作品を履修しておかないと分からない。この時点で、「佐久間、お前ちゃんと乙女ゲー知ってんな」という信頼感。

 


次に細かい表現とか。

 


「あ〜、楽しかった!」

梶裕貴かと思ったわ。いや、それは置いといて。げふんげふん。

背伸びとか手伸ばしながらこう言ってるんだろうなって景色が見えるし、嬉しそうな顔も浮かぶ。何より初っ端大きめの声でセリフがスタートすることで、元気な子なんだなってキャラクターの印象付けがばっちり浮かぶ。完璧なセリフ構成。

 


「恥ずかしい」って台詞の後の吐息。

吐息っていうか、息を吸う音?

文字にすると「っへへ」って感じかな。「へ」1個多いかな笑

これ完全に技術です。台本なら「(照れ笑い)」って書いてあるところを声で表現するとおそらくこうなる。

 


「ううん、何でもない」っていう台詞の前の「あ!」と、台詞のテンポ、更にはトーン。

これも技術。ついつい本音が出ちゃって焦ってる感じを表現する「あ」の言い方と、その後に続く台詞のテンポを駆け足にする確かな表現。前までの1人語りとは声の高さを変えることで、咄嗟に繕おうとしている様子を表現している。

ちなみにこの、「ついつい本音が声に出ちゃって焦る」って場面、もはやテンプレかってくらいお約束のシーン。さすがよくご存知!

 


「実は俺‥」

この台詞のトーン絶妙すぎる。「実は」っていう言葉聞いたら、「何だろう?」ってみんな思うでしょ?良いことなのか悪いことなのか、不安にさせておいて、最後にドッカーンと気持ちを上げさせる。これはもうプロだわ。深澤さんじゃないけど、社員だわ。

 


「冷めるまで一緒にいてくれる?」

はい、天才。プロの犯行。先生も褒めてくれてたけど、まず声が他のところの無邪気な感じとか元気な感じとは明らかに違う。この微妙なトーンを変えれるっていうの、実は難しい技術なんだと思う。売れてる声優さんでも下手な人は下手。明らかに決めにきてると分かるタイミングの台詞の表現はそれだけ絶妙なニュアンスを求められる。それが佐久間さん完璧にできてる。

これはセンスもあるんだと思うけど、意識してやらないと出来ないこと。だから彼、ちゃんと声の表現というものを研究して練習してるんだということが分かる。

 


あとこの最後のセリフで相手に選択を委ねる構成、完全に乙女ゲーム

この後にコマンド出てきて選択肢3つくらいの中から選ぶんでしょ知ってる。やったことあるわ。

 


というわけで、ちょっと見ただけで、聞いただけで分かる、彼の本気度。

完全に乙女ゲームというものがどういうものか知ってるし、表現の仕方も研究してるし、練習してるんだろうなってことがあの一瞬で分かるわけです。

加えて周りがニヤニヤしてる中、彼だけずっと真剣なんですよ。ずっと真剣に人の演技も自分の演技も聞いてる。ヘッドホン手で押さえて、声と音に集中している。

ガチ中のガチじゃん。

アニメ好きだから声優の仕事やってみたーい!なテンションじゃないじゃん。

ちゃんとお仕事としてやりたいからこそ、彼はたくさん研究して、そして努力してるんだなってすごくすごく、それはもう物凄く伝わりました。

 


最初に佐久間さんのボイス聞いた時の感想、キャー!とかじゃなくて、

「すごい‥」

だったもん。本物だったわ。

 


わたしは声優の推しさんもいるし、まぁそっちのオタクでもあるから、軽々しく

「佐久間さんに声のお仕事くださーい!」

とは言えないし、言いたくもないんだけど、佐久間さんなら絶対にやれる実力があると本気で思ってる。むしろ声優のオタクだからこそ思ってる。

なので私はこう言いたい、

 


「佐久間、全力で声の仕事取りに行けよな!!」

 

 

 

 

 

 

余談ですが、阿部ちゃんの「ったく、」も完全に技術。よく知ってるなって思った。あの表現って実はアニメとかでしか使われないよね。